シリーズ 中野で開業した頃 VOL1

 三縁に恵まれて


 川名浩(東中野/昭58年商)

【早稲田との縁・・・1975年】

 ベストセラーとなった五木寛之氏著「青春の門」を読みふけり、小説の舞台となる早稲田へと思い始めたのが縁の始まり。二度と受験勉強をしなくて良い付属へという安易な発想から受験したのが早大学院。

【学院時代・・・1976年4月】

 部活動に熱中することも無く、将来のことを真剣に考えることもないお気楽高校生としての3年間。時代は、クラスメートがキャンディーズの解散コンサートに走り、学院ラグビー部が在学中に強敵国学院久我山を破り全国大会に出場、スポーツ新聞の見出しに「学院」の文字は無く「強豪久我山破れる」文字だけが目だったのが懐かしい。

【大学時代・・・1979年4月】

 アルバイト(当時は一世を風靡した池袋西武スポーツ館スキー売り場、登山ウェア売り場でのメーカーから派遣店員等)に精を出し、授業を受けている時間のほうが短い、これといって打ち込むものもないまま卒業。

【就職・・・1983年4月】

 時の人、糸井重里氏のコピー「おいしい生活」などなど元気一杯の西武流通グループ(現セゾングループ)のマーケティング会社に就職。日曜雑貨などの商品調査、グループ内の出店調査などマーケティング調査を担当し、漸く自分がやりたいものが何なのかが遅ればせながら見え隠れ。企画、調査、報告という一連の仕事をこなしながら、自分が調査報告した仕事が形で見えないこと(自分が調査した仕事が形になるまで10年といったことも珍しく無く、また出来上がった店舗等のどこに自分が寄与したのか当時は全く想像すらできなかった。)にもどかしさ感じ始めた時代でもあった。

【転職・・・1987年6月】

 27歳のとき転職した先が不動産オーナー会社。俗にいう貸ビル貸家業。不動産会社であれば、係った建物が実際に目で確かめられるだろうというこれも安易な発想から。勿論、今では、どんな仕事でもその仕事なりの達成感があるということを認識するも、当時はまだまだ。それまで不動産業のことを何ひとつ知らず、そこで初めて不動産業にかかわるイロハを勉強。時はまさにバブルに突入、関税障壁撤廃の外圧も手伝って香港上海銀行の設計で知られお茶の水センチュリータワーを設計したノーマン・フォスター氏等々著名な海外建築家が日本で設計活動を開始。私の所属した会社も、仏のポンピドーセンター、ロンドンのロイズビルの設計等で世界的に知られるリチャード・ロジャース氏、家具などのデザインでも著名なイタリアのカルロ&アフラ・スカルパ氏等、著名な建築家とのプロジェクトを立ち上げ、私もプロジェクトの末端に加わる。彼らの自宅、作品等を数多く自分自身の目で見たことは、その後の建築・不動産に対する考え方に大きな影響を与えたことはいうまでもない。先代スカルパ氏設計イタリアベネトン社オーナー社長宅は、その頃で30年以上前の建築にもかかわらず、ラウンジのガラス越しに泳いでいるところが見られるプールがありその発想には正直驚いた。不動産・建築に対する知識も経験も全くなかった入社間もない私を、ヨーロッパへの20日あまりの帯同を始めとし、その後も何回か不動産の海外視察の機会を与えてくれた同社社長にはいまでも非常に感謝。(この間、1988年に結婚、1990年に長男誕生。)

【起業・・・1996年3月】

 10カ月の浪人生活等を経て、このどん底の不況の中での独立なら、あとは良くなるしかないよとの不動産業先輩諸兄の励ましの中、1996年3月に山手通り拡幅工事都営12号線工事で町並みが大きく変貌中の--- 不動産業のマーケットとしても期待できる---東中野で賃貸マンション等の企画・運営マネージメントを主業務とする不動産会社を設立。不動産業といえば、人通りのある一階店舗というのが一般の方のイメージながら、当初はワンルームマンションの一室でスタート。もちろん路面の店舗ではないので集客など期待できるわけもない。但し、人の縁は見放さず、それまでのお付き会いを頂いた知人先輩諸氏からの仕事の依頼を無我夢中でこなし、仕事もなんとか軌道に。

【インターネット・・・1997年1月】

 起業する前年には、それまでコンピューターには全くなじみの無かった人まで巻き込んで大騒ぎとなったマイクロソフト社のWindows 95が発表され、設立案内状には、いずれインターネットを利用したいと記すも、当初は単なる思いだけ。設立後初めての正月休みにホームページを簡単に作成できるというソフトが発売されたとの記事を読み、早速購入。来客の期待できない事務所ならと、バーチャルショップよろしく試しにとホームページを作成。今考えればかなりの冷や汗ものだが、正月明けには怖いもの知らずにもインターネット上に公開。勿論その程度のものがすぐに売上に繋がるなんてことは全く予想だにしなかったが、ホームページを見たとのお客様からの問い合わせ。公開して2週間後には、インターネットによる初めての売上があがってしまう。自分自身驚き、これにはインターネットに本腰を入れねばとあらためて思った次第。その後3年を経過し、インターネットも加速度的に普及、当社ホームページも多少なりとも進歩、雑誌等でも時々取り上げられ(3/29にリクルート社から発売されるアントレという起業家向け雑誌にも当社が紹介予定。)、今では、不動産賃貸の集客の半分をインターネット経由のお客様が占める。当社ホームページのセールスポイントは、海外から帰日されるお客様からも好評の間取図を操作すると見たい角度の画像が見られるバーチャル間取図と、デザイン的にも優れたお部屋を紹介し続けていること。機会がありましたら是非一度当社のホームページをご覧下さい。(ちょっと宣伝)当社ホームページ、URLはhttp://www.kwnet.co. jp/

【地縁、人の縁、時の縁】

 駆け足ながら編集部の鈴木様、平崎様のお言葉に甘えて、自分のことをだらだらと書いてしまいましたが、東中野で起業して早4年。地縁(開発著しい東中野との縁)、人の縁(いままでのお世話になった方々との縁は勿論、当社事務所スペースをご提供頂き、早稲田大学商学部、学院の先輩でもあり中野稲門会への加入をお誘い頂いた石森芳明氏等々との縁)、時の縁(道路拡幅工事の影響で新しい建物が建て代わり、時代がインターネットの利用に拍車をかけ始めた時期に開業できたという縁)がこれ以上ないほどうまく噛み合って現在があるのだとつくづく思います。会社としてはまだスタートしたばかりですが、不動産業という何よりも地元中野に溶け込むことが必要な仕事をしておりますので、今後とも先輩諸兄の皆様のご指導を仰ぎつつ今後とも業務に励みたいと思っております。最後に中野稲門会の今後益々の発展と会員の皆様のご健康をお祈り申し上げます。

カワナ・ネットワーク 川名 浩

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