「忘年会」

 中野稲門会の忘年会が終わった翌週、そろそろ街の中はあわただしさが増してきた。そんなある日、知研(知の技術研究会)部会の忘年会が区内某所某宅で開催された。「何も用意することはありません、気楽においで下さい」と、お招きを受けた。さて、そうはいっても気楽かどうか、何かがあるなと躊躇していると、再度のお誘いだった。ついに「各種ビンの吸収」の誘惑に負けて、「行きます」と即答した。▼遅れていくのも何だか気恥ずかしくて、敷居も高くて? 少しも手伝わないで参加するなんてと思ったものの、仲間に会える楽しみのほうが大きかった。扉の中はもうすでに宴たけなわだった。主人の手作りのもてなしは続く。味も本格派だ。半端じゃない。というのは、普段からビンとのお付き合いに鍛え抜かれて場数を踏んでいるからだ。鍛え抜かれた……と感心していたら、さらに重ねの重箱が出された。な、なんときれいに盛り付けられた「ちらし鮨」だった。山海の珍味が盛り込まれ、ひときわ彩りを添えた。あっという間に空だった。▼「知」への探究に飽くこと疎まず貪欲さを見せる諸兄は、さらなる「食」への充足も旺盛だった。これぞわが早稲田。食は皆が共有とし、毎日を必要とするもの。手を抜けば味(知)は落ちる。こんなに上手においしくできるのだったら、「食文化」部会があってもいいのだが。(岩井)

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